会社の移転を検討している方へ。本店移転には法務局への変更登記申請が必要です。 この記事では、同一管轄内の本店移転に絞って、必要書類・費用・申請の流れをわかりやすく解説します。
本店移転登記とは
本店移転登記とは、株式会社の本店所在地が変わった際に、法務局(登記所)に対して新しい住所を届け出る手続きです。 会社法により、本店移転の効力が生じた日から2週間以内に申請しなければならないと定められています(会社法915条)。
登記上の本店住所は、取引先・金融機関・官公庁が確認する重要な情報です。移転後に登記を放置すると、 代表者に対して100万円以下の過料が科される可能性があります。
同一管轄と管轄外の違い
本店移転には「同一管轄内」と「管轄外」の2パターンがあります。管轄とは法務局の担当エリアのことです。
| 区分 | 内容 | 申請先 |
|---|---|---|
| 同一管轄内の移転 | 同じ法務局の管轄エリア内での移転 | 移転先の管轄法務局(1件) |
| 管轄外への移転 | 別の法務局の管轄エリアへの移転 | 旧管轄・新管轄の両方(2件) |
変更登記メーカーは現在、同一管轄内の本店移転に対応しています。 管轄外への移転の場合は、司法書士への依頼または法務局への相談をおすすめします。
手続きの流れ
- 移転先の確認:新住所が同一管轄内かどうかを法務局のウェブサイトで確認
- 定款の確認:定款に記載された本店住所の粒度を確認(市区町村レベルか番地レベルか)
- 取締役会または取締役の決定:移転を決議する(取締役会設置会社は取締役会決議、非設置会社は取締役の過半数による決定)
- 株主総会特別決議(必要な場合):定款に記載の住所より細かい番地へ変更する場合のみ不要。定款記載の市区町村の範囲を超える場合は定款変更が必要
- 必要書類の作成:変更登記申請書・取締役決定書(または取締役会議事録)など
- 法務局へ申請:移転先(新本店)の管轄法務局に提出
必要書類一覧
同一管轄内・同一都道府県内の移転(定款変更なし)の場合の標準的な必要書類は以下の通りです。
取締役会非設置会社(取締役が複数または1名の場合)
- 変更登記申請書
- 登記すべき事項(別紙または電磁的記録)
- 取締役決定書(取締役の過半数の同意書)
- 収入印紙貼付台紙
- 委任状(代理人が申請する場合)
取締役会設置会社の場合
- 変更登記申請書
- 登記すべき事項(別紙または電磁的記録)
- 取締役会議事録
- 収入印紙貼付台紙
- 委任状(代理人が申請する場合)
定款変更(株主総会特別決議)が必要な移転の場合は、上記に加えて株主総会議事録・株主リストが必要になります。
📌 ポイント:変更登記メーカーでは、本店移転の申請書・取締役決定書・取締役会議事録を自動生成できます。
→ 本店移転の書類を作成する
→ 本店移転の書類を作成する
費用(登録免許税)
本店移転登記には法務局に納める登録免許税がかかります。 同一管轄内の移転は申請が1件で済むため、費用も抑えられます。
| 移転のパターン | 登録免許税 |
|---|---|
| 同一管轄内の移転 | 3万円 |
| 管轄外への移転(旧管轄) | 3万円 |
| 管轄外への移転(新管轄) | 3万円 |
登録免許税は収入印紙で納付します。収入印紙は郵便局やコンビニで購入できます。 詳しい納付方法は登録免許税の納付方法をご覧ください。
定款の「本店の所在地」に注意
定款には本店の所在地が記載されていますが、その記載粒度によって手続きが変わります。
- 「東京都渋谷区」など市区町村レベルの記載:同じ市区町村内の移転なら定款変更は不要。取締役の決定書(または取締役会議事録)のみでOK
- 「東京都渋谷区〇〇町1-1」など番地まで記載:番地が変わるだけでも定款変更(株主総会特別決議)が必要になる
まず定款を確認し、本店の記載がどのレベルかを把握してから手続きを進めましょう。
よくある間違い・注意点
- 申請先を間違える:本店移転の申請先は「移転後の新本店」の管轄法務局です。旧住所の管轄ではありません(同一管轄の場合は同じ法務局)
- 住所の表記ミス:申請書の住所は住民票・登記簿と完全に一致させる必要があります。「丁目」「番地」「号」などの表記も正確に
- 社会保険・税務署への届出を忘れる:登記変更後、年金事務所・税務署・都道府県税事務所・市区町村などへも住所変更の届出が必要です
- 印鑑登録の変更:本店移転後は法務局での会社印鑑登録も新住所に更新が必要な場合があります