取締役・監査役の任期が満了し、全員が引き続き就任する「全員重任」は、役員変更登記の中でも最も多いケースです。 この記事では、全員重任登記の手続きの流れ・必要書類・注意点を解説します。
全員重任とは
全員重任とは、取締役・監査役などの役員が任期満了を迎え、同じメンバー全員が再選・再任される(重任する)ことを指します。 メンバーに変更がなくても、任期満了のたびに変更登記が必要です。登記を怠ると代表者に過料が科される場合があります。
役員の任期は通常2年(最長10年)です。定款で定めた任期が満了したら、株主総会で重任の決議を行い、2週間以内に登記申請します。 役員変更登記の基本については、役員変更登記とは?完全解説もご参照ください。
会社形態による手続きの違い
全員重任の手続きは、会社に取締役会が設置されているかどうかで異なります。
取締役会あり(取締役3名以上+監査役)
- 株主総会で取締役・監査役を再選
- 取締役会を開催し、代表取締役を互選で選定
- 必要書類:申請書・株主総会議事録・取締役会議事録・株主リスト
取締役会なし・互選(取締役複数名)
- 株主総会で取締役を再選
- 取締役の互選で代表取締役を選定
- 必要書類:申請書・株主総会議事録・互選書・株主リスト
取締役会なし・各自代表(取締役1名など)
- 株主総会で取締役を再選(代表取締役の互選書は不要)
- 必要書類:申請書・株主総会議事録・株主リスト
全員重任登記の手続きの流れ
- 任期満了日の確認:定款・登記事項証明書で役員の任期満了日を確認する
- 株主総会の招集・開催:任期満了前後に株主総会を開催し、役員全員の再任を決議する
- 取締役会(または互選)の開催:取締役会設置会社は取締役会で代表取締役を選定する
- 書類の作成:申請書・議事録・株主リストなどを作成する
- 押印:代表取締役印(会社実印)などを各書類に押印する
- 収入印紙の購入・貼付:登録免許税(1万円または3万円)分の収入印紙を購入し台紙に貼付する
- 法務局へ提出:決議日から2週間以内に管轄法務局へ申請書一式を提出する
必要書類一覧
| 書類 | 取締役会あり | 互選 | 各自代表 |
|---|---|---|---|
| 変更登記申請書 | ✓ | ✓ | ✓ |
| 株主総会議事録 | ✓ | ✓ | ✓ |
| 取締役会議事録 | ✓ | — | — |
| 互選書 | — | ✓ | — |
| 株主リスト | ✓ | ✓ | ✓ |
| 収入印紙貼付台紙 | ✓ | ✓ | ✓ |
| 委任状(代理人申請の場合) | 任意 | 任意 | 任意 |
株主リストの作成ポイント
株主リストは2015年の会社法改正で添付が義務化された書類です。株主総会の決議に係る株主の氏名・住所・議決権数・持株数を記載します。
- 議決権を多く持つ上位10名(または議決権の3分の2以上を占めるまでの株主)を記載する
- 代表取締役が作成し署名または記名押印する
- 特定の書式の指定はないが、必要事項を漏れなく記載する
よくある間違い・注意点
- 任期を勘違いしている:任期は「選任後〇年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」。単純に2年後の日付ではない
- 重任でも登記が必要:「同じメンバーだから不要」は誤り。メンバーが変わらなくても任期が切れれば必ず登記が必要
- 申請期限の起算点:期限は決議日(株主総会開催日)から2週間。任期満了日ではない。詳細は申請期限と過料リスクの解説記事を参照
- 押印箇所の確認:書類によって使用する印鑑が異なる(会社実印・代表者個人の認印など)